長いこと指圧をしていると、時に相手の訴えとこちらの診たてが違うという事象に遭遇します。これは訴えは様々なのですが、一様に症状が気になると訴えます。それではと指圧に取り掛かりますが、4回、5回と指圧を重ねているうちコリは柔らかくなり、腹部の感触も随分と改善されてきます。そこで「だいぶ楽になったでしょう?」と尋ねると、いいえそれほどでもないと答えるのです…。女性に多いのですが、来院される方の中にはまれにいらっしゃいます。そのような経験を指圧師人生を通じて何件か経験しました。
症状が変わらないと訴える方…
このような時は、まだ効果が及んでいないのか…と判断して、更に何度か指圧を重ねます。
かなり良くなったと手ごたえを感じて、そこで再び尋ねるとまたもや変わらないと言うのです。
このような時は治療師は焦ります。そして「自分は下手なんだなあ」と卑下して落ち込むのです。
そしてこのような事が何回も続くと、自信を失ってしまう人も居るんです。
私も何度かこのような外見的には改善しているのに、なぜか「治らない」と訴える方に遭遇しました。
最初は「まだ未熟なのか…」と自分を責めていましたが、何人か経験しているうちに、そこにある共通点がある事に気がつきました。
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消極的で神経過敏な人に…
その共通点というのは「神経質」だという傾向です。
もっと細かく言うと、考え方がネガティブで神経過敏だという事です。
このような方は軽くなった自分の体の症状を(良くなっているのに)良くないと捉え、体の些細な刺激を拡大して感じ取り「まだ治っていないのだ」と解釈するわけです。
つまり神経質…という事でしょうか。
こういう方は治療院泣かせで、どこの治療室へ行っても同じように訴えます。
病気を手放せば治ります
神経過敏な方は、自分のマイナスの要素は不安要素なので、見過ごせないんですね。
ちょっとでも不快が残るとダメなんです。
たとえ体は改善していても、気持ちが病気を手放さない…。
何かまだ変な感じがする…こう考えるんです。
そこで病気が治りましたよと言われても、納得できないわけです。
神経過敏の方の場合、「治らない」と仰るのは決して悪意でも意地悪でもなく、「どうしても気になる」と言うことなんですね。
症状を手放すことが、その症状から解放される道のような気がします。
大らかな気分になれば治ってしまうんですね。
この解決法としては、指圧治療を行いながら信頼関係を築き、徐々に気持ちのシコリを解いて行くのがベストだと思っています。
話しが少しそれましたが、決して技術が未熟だからという事ではないと言うことです。
ただ自分の体に合わない生活で似たような症状を訴える方も居られます。
それについての関連記事を掲載しましたので、よろしければ読んでみて下さい。
関連記事:検査異常なし・原因不明な不快な症状で悩む
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≪当会の沿革≫ 経絡指圧普及会・池袋治療室
当会は昭和63年に東京・国分寺市にてプロ指圧師の再教育の場として発足いたしました。業務内容は仕事に使える「全身指圧」習得のための入門、初級、中級の各種講座の『セミナー運営』と施術室での『指圧治療』です。特に治療では、古来から伝わる漢方式の施術を実践し、利用者の皆さんの体の不調を治す指圧を実践しています。
平成16年には活動の拠点を東京の池袋に移し、現在はインターネットやSNSで幅広く対応しながら、一方では設立の精神である「寺子屋」式にこだわり、人間臭いコミュニケーションを重視して経絡指圧の実践に努めています。
経絡指圧普及会:℡.03-3985-1060