指圧QandA

1. 一回の治療時間は…
 最近はクイックマッサージなどのような10分程度の施術を売り物にしている治療院もありますが、実験では20分以下の指圧ではほとんど効果はありません。やはりある程度の実効を出すためには30分以上の指圧が必要です。今でも治療院は30分から1時間程度の施術時間をとっています。
2. 一回の治療費はどれくらいですか?
 おおよそ10分あたり1,000円と考えればよいでしょう。ですから40分施術するところでは4,000円くらい。60分施術するところでは5,500円~6,000円と考えればよいでしょう。
3. 何回くらい通院すれば治りますか?
 症状にもよりますが当治療室の例では、3回~5回の通院が一応のメドになります。大半の症状はこの回数の範囲内で改善されています。ただ改善の程度は個人差がありますので人によって千差万別です。「まったくなくなった」から「症状はまだあるけど、最初のときよりもラク…」までバラツキはあります。症状が改善される3回~5回までは1~2週間に1回のペース、そして5回以降は月に1~2回のペースで大丈夫です。
4. 指圧の治療経過は…?
 症状の変化は早い人で翌日に変化があります。しかし多くの人は3回目くらいまではそれほど変化がないのが普通です。3回目を越したあたりから「そういえば症状が軽くなった」「なんとなく体がラクに…」と体の変化に気づきます。それ以後も指圧を継続して行くと「症状が気にならなくなった」「症状を忘れる時がある」と徐々に治って行くのが実感されます。指圧は1回の施術で劇的に症状がよくなると言うケースは少ないです。少し時間がかかります。しかし一旦症状が改善されますと、再び悪化したりぶり返したりする事はありません。
5. 指圧でガンも治療できますか?
 現在のところ指圧だけでガンは治りませんが、家庭での養生に指圧を組み入れると日々の生活は結構改善されます。その理由は指圧のスキンシップによる心理的安堵感と、押圧による体調改善が患者の心身を癒すようです。経験では末期の方でも亡くなる数日前まで普段通りに生活し、その後スーッと亡くなったとの報告を戴きました。
6. 良い指圧師を見分ける方法は…?
 これは一度受けてみれば分かることです。ご自身で受けてみて「なんだが合わないな」とか「不快感ある」とか感じたら自分には合わないと考えてよいのです。指圧には相性があります。いくら他人が「良い治療師」と言っても、自分との相性が合わないとシックリいきません。こういう場合は自分にとって「良い治療師」ではないのです。とにかく一度受けてみれば分かります。
7. 治療を受けるときのコツは…?
 特別にコツはありませんが、注意すべきポイントはあります。まず受療するあなたがキチンと「指圧治療」として受けたいのか、ちょっとの間だけの「慰安」として受けたいのかハッキリさせることです。チョッとの間だけならクイックマッサージや指圧サロンなど、しかし治療として受けたいなら「指圧治療院」に行くべきです。また電話をしたとき曖昧な答えや不遜な応対をする治療院は避けたほうがよいでしょう。丁寧に応対してくれる治療院は技術的にも丁寧なものです。
8. なぜ指圧で病気が治るのですか?
 ツボを刺激するとツボの力で体調が整い、その結果病人の免疫力(=抵抗力)が増すからです。指圧が直接病気に働き掛けて治しているのではありません。指圧をすることで体力がつきその体力が病気を撃退してしまうのです。指圧で沢山の病気が治ると言われますが、要するに治しているのはご自身の体力なのです。
9. 病院と指圧を併療しても大丈夫ですか?
 これは大丈夫です。それは病院の治療は「医療」ですが、指圧治療は「養生」に属するからです。『なぜ指圧で病気が治るのですか?』の項でも書きましたが、指圧は体調を整えて抵抗力をつける治療です。いくら病院で良いくすりをもらっても、本人の体力・気力が低下していればなかなか効きません。むしろ家庭でしっかり体調管理したうえでくすりを飲めば、その効果も期待できるというものです。また病院から手術を勧められている時も、事前にしっかり指圧をしておくと術後の経過も良いようです。
10. 指圧は肩凝り以外にも効きますか?
 もちろん効きます。他に指圧が効く病気は沢山あります。一般に急性症状の病気は西洋医学が良いといわれ、慢性症状の病気には東洋医学が良いとさえ言われています。指圧は東洋医学に属していますから、慢性的な症状を訴える人にはお勧めです。とくに健康と病気の中間に位置する人、俗に「半病人」と言われる人は指圧を積極的に受けてみると意外な効果に驚くことが多いようです。
11. 指圧してはけない病気はありますか?
 指圧で禁止されている病気(禁忌症)は伝染病、感染性皮膚病、重症の内蔵病、高度医療を必要とする疾患などです。要するに患者に触れると指圧師も感染してしまう病気や、指圧師の力量を遥かにこえる重度の疾患などが禁忌症とされているのです。
12. 指圧後ぐったりすのですが…
 ぐったりするのは体が疲れている場合です。それまで緊張していた体が指圧で一気にリラックスして力が抜けてしまったのです。これも回数を重ねるうちに疲れが取れ、ぐったりしなくなってきますので心配はありません。
13. 指圧に副作用はありますか?
 まずありません。漢方の教科書には副作用についての記載も載っていますが、実際指圧で副作用が起こった話しは聞いたことがありません。あるとすれば指圧師側の不注意による「事故」です。しかしそれは起こるべくして起こったもので、患者も施術中に思い当たる事があるものです。普通に指圧して患者も快適に受けていて、それで術後に変な症状が出るということは指圧の場合まずありません。
14. 指圧のあと「もみ返し」がきました。
 これは強烈な指圧を受けたあとに起こります。慣れた指圧師は患者の適圧がぴたりと分かるものですが、慣れない指圧師や強圧を得意にしている指圧師は、ややもすると患者の適圧以上の圧で指圧をすることがあります。こうなると術後に痛みとこりが残り、かえって辛くなることがあります。このような指圧師に出会った時は遠慮なく「そこは少し弱めにお願いします」と言いましょう。
15. 指圧の治療は痛いのでしょうか?
 いいえ痛くはありません。一般に指圧は痛いものだと思われていますが、それは患者側にも「指圧は痛くなければ効かない」と言う思い込みがあるのです。気持ちのよいのが指圧だと考えて戴ければよいと思います。ただ弱く指圧をしても痛さを訴える患者もいます。これは患者の体が歪んでいる場合で、指圧が痛いのではなく圧されたツボが痛みを発しているのです。こういった場合は「無理をしていますよ…」との体からのメッセージなわけですから、「ああ、自分は疲れているんだ。無理をしてたんだ」と理解して痛みに体を委ねるのが正解です。無理が癒されて体がほぐれると、自然に痛みも消えてきます。
16. 指圧では整体のように骨の矯正はしないのですか?
 ポキポキと言うような衝撃的な矯正は指圧ではしません。指圧で行う矯正は主に伸展法です。指圧は筋肉に対して施術しますので、筋や腱のリラックスの度合いを診るためにストレッチのような伸展を行うのです。これらは指圧が終わった後、様子を見て行いますが、痛みや辛さはなく筋骨の矯正効果もあるものです。また患者の状態を診ながら伸展操作を加えるので、お年寄りや体力がない人にも安心して行える利点があります。
17. 指圧は美容にも効果がありますか?
 確かにあります。指圧による美容効果は血行の改善により顔色が良くなること。また体調が整ってトゲトゲした部分が取れ穏やかになるようです。その結果ハツラツとしながらも内面的な雰囲気を醸し出すようになります。またO脚の矯正もできますし、バストアップなども即座にできます。
18. 経絡指圧を受けられる治療院を紹介してください。
 申し訳ありません。残念な事に経絡指圧を行なえる指圧院は大変少なく、こちらも紹介できないのが実情なのです。
19. 短時間の指圧は効果がありますか?
 試験データーによりますと、20分以下の施術では指圧としての効果は薄いようです。ただ肩凝りがひどく辛いときなどは「ちょっとやって…」と飛び込みたくなるもので、そのような場合は一時的でも便利です。要するにTPOを考えて利用すればいいと思います。
20. 指圧師になるには資格が必要ですか?
 必要です。資格を取るには厚生省が指定した専門学校に入学しなければなりません。そこで三年間勉強した後、国家試験を受け合格します。合格後免許申請をすれば指圧師の資格(免許)が取得できます。
21. 何才くらいから指圧を受けることができますか?
 特に上限や下限はありません。どの年代でも指圧は有効です。指圧というとお年寄りが受けるイメージがありますが、最近は20代やそれ以下の方の施術が増えております。また若い方では小学生や幼稚園の子供に指圧をするケースがあります。これはアトピーとかアレルギーなどの症状をもつ子供たちが多く、中学高校生になると受験勉強のストレスなどによる肩凝りや背中の痛みを訴えて、施術を受けに来るケースが多いようです。最初は親同伴ですが、慣れると一人で来るようになります。
22. 指圧を受けるのに一番良い時間帯は…?
 最良の時間はありませんが、お昼前の11時ごろの施術は気分が清々しくなるためお勧めの時間帯です。一般的に言うと施術は早い時間帯に受けるのが良いと思います。遅くなると施術者の疲労も蓄積するので、時間が許せば早い時間に受療する方がよいでしょう。
23. 肩だけ集中的に指圧をして欲しいのですが…
 一時的な肩こりでしたら、それでも構いません。長期に渡る肩こりの場合はただ肩凝りを肩だけ指圧すればいいと考えるのでしたら、チョッと損をするかもしれません。肩凝りは体調を示す一つのバロメータなので、肩を緩めながら全身の状態を改善する指圧をした方が得です。肩凝りだけを弛めていますと、一時期はラクになりますがまた肩こりを繰り返します。これって時間的にも損ですよね。全身を緩めてやると肩こりの再発は少なく、また軽く済むようです。
24. 痩せるツボを指圧するとダイエットできますか?
 一般的に体重の減少は期待できません。よくツボダイエットの本を見かけますが、ツボを押して体重が減るというのは少々疑問です。では指圧では絶対痩せないのかと言うとそうでもなく、基礎代謝の元来低い肥満の人が指圧によって痩せたと言うのはあります。肥満は食べるカロリーに対し消費発散するカロリーが低い場合に起きます。基礎代謝とは自動車で言うとアイドリング時のエンジンの回転数に相当します。これが低いのです。つまり基礎的な燃焼力がないのです。指圧をすると回転数(基礎代謝)が上がり、基礎燃焼力を高める事ができて、それで痩せてくるのです。ただし例はそう多くはありません。
25. 経絡体操をするとどんな効果がありますか?
 リラックス効果が高まります。経絡体操は全部で6種類ありますが、一種のストレッチ体操です。一つのフォームは一対の経絡を伸展させる効果があります。心身ともに緊張している時に経絡体操をすると、確かに体から力みが抜けた感じになります。いろいろやってみた結果、経絡体操を2クール(6つの体操X2回)行なうと効果はハッキリするようです。時間的にも20~30分くらいで終わります。
26. 治療院の選び方の基準は?
 治療院は「病気治療」を目標にしている所と「健康維持・保健」を主にしている所と、そして「慰安娯楽」をイメージして施術を行なっている治療院の3種類があります。選ぶときはまずこれを念頭に入れて選択します。「慰安娯楽」のそれはサロン化しているので、これは外見からわかります。「病気治療」の治療院は電話をして確かめます。自分の症状や訴えを電話で話し、その時の治療師の反応で大半は検討がつきます。テキパキと説得力ある受け答えをするような所ならまず安心で、対応が曖昧だったり説明が今いちハッキリしない所は施術もパッとしないものです。
27. 指圧の効き目はいつ頃から出ますか?
 早ければ翌日に現われます。現われ方は「症状が軽くなった」「体が軽くなった」などと表現する人が多いようです。また10年以上その症状と付き合っている人は3~5回が一つのメドです。元来指圧に来る人はそれなりに体力がある人が多いので、ペースを守って通院すれば症状は一ヶ月程度で結構好転するものです。
28. 人によってやり方が違うようですが…?
 それは各指圧師の経験を積んだ場所による違いです。養成学校では国家試験合格のための術技を教えますが、それはそのまま実務につかえる技術ではないのです。それで指圧師は学校卒業後に治療院などに就職して実務的な技術を学びます。そこではその治療院にあった指圧術を指導されますから、そこで学んだ指圧が素養となってくるのです。整体系の治療院ならば矯正が多い指圧師になりますし、漢方系の治療院なら経絡や経穴を用いた指圧師になるでしょう。その指圧師の経験に沿った施術になるため、やり方が違ってくるわけです。
29. 予約なしで行っても大丈夫ですか?
 大丈夫な所とそうでない所がありますが、やはり予約を取ったほうが無難です。指圧は一回の治療時間が最低でも30分程度はかかりますから、予約なしで行った場合かなり待たされる事があります。とくに夕方は仕事帰りの人で混雑する治療院もありますから、やはり電話で状況を聞き予約を取って行ったほうがよいでしょう。
30. どんな服装で指圧を受けるのですか?
 クイックマッサージのような短時間の施術では洋服のまま施術をします。しかし60分以上の指圧院では専用の施術着に着替えてもらって施術する所が多いようです。施術着は治療院備え付けのものを着用しますが、それがイヤだと言う人は自分用のパジャマやトレーナーを持参する人もいます。着衣のまま施術を受けたい場合は、その旨を指圧師に言えば応じてくれます。
31. 指圧は健康保険が効きますか?
 医師が指圧治療に同意した場合は健康保険が利用できます。この場合は患者自身が医師から「同意書」をもらって来る必要があります。医師の科目は何でも構いません。自分が腰痛の場合、耳鼻科の医師からでも皮膚科の医師からでも大丈夫です。最近は「訪問リハビリマッサージ」同意書を貰って指圧師が訪問治療する事も多くなりました。また自動車事故の後遺症(むち打ち、打撲・捻挫…)などでは自動車保険でも治療が受けられることがあります。保険治療を行なう治療院はまだ少数なので、治療開始前に尋ねてみるとよいでしょう。
32. 指圧は税金の医療控除の対象になりますか?
 なります。最高50,000円までですが、税金の医療控除の対象になっています。控除を受けたい方は治療の後、領収書をもらうと良いでしょう。
33. 経絡指圧の特徴は何ですか?
 経絡指圧は体の表面を流れる「経絡(けいらく)」と呼ばれるツボ群を指圧する治療法です。体に不調があるとこの経絡が特異な反応を示します。押圧をしながらその反応を見極め、指圧で元通りの状態に導きます。この一連の指圧技術が経絡指圧と言うものです。経絡技術は漢方の土台をなす技術で、経絡指圧が漢方的と呼ばれるのはそのためです。詳しくは「経絡指圧って何」も参照して下さい。
34. 経絡指圧はどんな病気が得意ですか?
 経絡指圧は軽医療の分野ですから、病気の初期のものは基本的にすべて大丈夫です。指圧を希望する方は運動器の悩み(肩凝り、腰痛など)で来院する事が多いのですが、指圧は内臓の不調にも効果的です
35. 心の病も治せますか?
 神経症や心身症などの心のトラブルは結構改善されるようです。昨今はリストラや先行き不安で悩むサラリーマンの自殺などがよく報じられますが、そこまで行かなくとも軽い神経症やノイローゼで悩む方は増えています。これらの症状は必ず体調不良を伴なっていますので、指圧で体調を整えますと気持ちも整ってくるものです。また不安に襲われる不安神経症や、突然パニックになるパニック症候群なども症状は違いますが漢方的には同じで、これも効果があります。ただ心の病は再発しやすいので、焦らず治療を続けるとよいと思います。わたしどもの経験では、体調が好転すると、それに伴って気持ちも変わってくるようです。