今や生活の必需品になったスマホです。かつては一家に数台程度だったのが、今では一人一台の時代です。最近のスマホの進化は著しく、スマホ一台ですべてが賄えるようになって来ました。周囲を見渡してみると、かつては電車の中で新聞や雑誌を読む人が多かったのですが、今は殆ど居ません。代わってパソコンやスマホを見詰める人たちで占領されています。このようにパソコンやスマホは完全に私たちの生活に浸透していますが、それだけに健康に対する弊害も出て来たようです。
●スマホやテレワークの問題は…
昨今、長時間に及ぶスマホやテレワークによるパソコン作業の弊害が指摘されています。長時間におよぶパソコン作業の弊害は以前から指摘されてはいましたが、今や日常のグッヅとなったスマホの使用で肩や首に痛みや違和感を訴える人が増えています。
同様にコロナ禍によってテレワークが一般的になりましたが、在宅でパソコン作業をすることで却って休息が不規則になり、肩や首、背中に違和感を訴える人が増えました。
●若者を中心にスマホ首が激増…
スマホの使用で特に問題になるのは、その不自然な姿勢による弊害です。俗に「スマホ首」と称するストレートネックの症状は、20代から30代の若者で、首や肩の違和感で悩む約40%の人がスマホ首であると言われています。これはもはや社会問題となっています。
●スマホ首の原因と症状
ストレートネックの原因は、首を前に傾けて画面を凝視し、神経緊張をし続ける事が原因です。スマホを視る時は前かがみの猫背の状態になりますが、その時は頭が前に傾いて、首や肩がその頭を支える格好になります。
頭の重さは成人で約5kg内外です。しかしそれがほんの少し15度程度傾いただけで12kgの負担増になります。そしてさらに30度傾くと18kgとなって、首や肩の負担は3倍以上になるのです。
前方にうつ向いた「重いボーリングの玉」を細い首一本で支えている…。そんな光景を想像してみて下さい。大きな負担になっている事は容易に解りますよね。
そして傾きの角度が深くなるほど、背中は「猫背」になってバランスを取ろうとします。
こうなると首や肩だけの痛みだけではなく、眼の疲れや背中の張りなど違和感を訴えるようになるわけです。
ストレートネックでは首の骨が一直線になって頭を支えていますから、首や肩は疲れ切った状態になっていて、この負担が更に強くなると腰の筋肉までが悲鳴を上げるようになります。
身の回りに、腰が張ったり重いと訴えている人は居ませんか。そのような人は長時間のパソコン仕事や、仕事以外でもスマホなどを長時間視ている人かも知れません。
首の疲労も一過性のものなら、一晩眠ればリセットされます。しかしそれが毎日長時間になりますと、完全にリセットされずに疲れが残ってしまうのです。そして更にスマホを見続けたりパソコン作業を継続したりしますと、ついには疲労が固定して首の筋肉は硬化して弾力性を失い、その首の骨を一直線に固定してしまいます。
これがストレートネックです。こうなると元の弾力のある、しなやかな首に戻すのは大変なのです。
今見て来たように、スマホ首(ストレートネック)は首だけのトラブルではなく、その疲労が上半身(または全身)に及んで、首や肩、また腰までもその重い頭を支えるべく疲れて萎縮硬化してしまったわけですから、ただ単に首だけを真っすぐに立ててもダメなわけです。(下のイラスト)
考え方として無理な疲労で疲れ切った首をこれ以上負担が掛からないように、周囲の筋から徐々に弛めて行く必要があります。首が真っ直ぐになったと言っても、骨自体が真っ直ぐになったわけではなく、骨を支える筋が真っ直ぐにしてしまったわけです。ですからそれらの筋を弛めてあげれば、首は自然に元に戻ります。
更にスマホやパソコンの作業では、視覚を通して神経を酷使し過敏にしています。気分を落ち着かせ、気持ちをリラックスさせる事も重要です。
また日常生活でも首に負担が掛からないような姿勢を保つことや、首の筋の強化に努める事も大切です。指圧治療と並行してこのようなセルフケアも励行すべきでしょう。
このような事は日常の少しの心掛けで出来るものです。